上越国境 稜線 縦走記

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2018年10月8日から10日にかけて、上越国境稜線を踏破してまいりました。
行程は下記のとおりです。休憩時間を含まない行動時間を添えてあります。

2018年10月7日
早稲田駅~(電車)~土合駅[C0]

2018年10月8日
曇りのち晴れ 3:10発 17:05着
土合駅~(0:10)~白毛門登山口~(2:00)~松ノ木沢の頭~(0:40)~白毛門~(0:50)~笠ヶ岳避難小屋~(1:00)~朝日岳~(0:05)~朝日岳東方の水場~(0:15)~ジャンクションピーク~(0:45)~越後烏帽子~(0:40)~大烏帽子山~(1:00)~最低鞍部~(2:20)~檜倉山[C1]

2018年10月9日
晴れ時々曇り 5:45発 17:05着
檜倉山~(3:50)~柄沢山~(1:55)~米子頭山~(1:00)~最低鞍部~(1:40)~分岐~(0:05)~巻機山~(0:30)~巻機山避難小屋[C2]

2018年10月10日
曇りのち晴れ 6:05発 8:10着
巻機山避難小屋~(1:05)~6合目~(0:40)~3合5勺~(0:10)~桜坂駐車場

 

メンバーはCL・ISZK、SL・SKN、TKD、UTM、AOKの五人。

 

2018年10月7日、JR土合駅に終電で到着。
土合駅下り線ホームに続く階段を「本山行の核心部だ!」とか叫びながら登る。
翌明朝に出発するため、夕飯を食べて軽く飲んだらすぐ就寝。

 

2018年10月8日、起床。眠さと寒さに耐えながら出発準備をする。上越線の踏切を渡り、白毛門登山口より暗い登山道をヘッドライトの灯りを頼りに進む。爆速ペースで進んでいると、すぐに日が昇ってきた。しかし天気は曇り。松ノ木沢の頭で風を受けて結構寒い。そこで休憩したらだいぶ汗冷えしてしまった。紅葉している白毛門を登る。
UTMと筆者AOKは、同年6月に谷川連峰馬蹄形を時計回りに周っており、白毛門から下っているときに「これ逆方向に登りたくねーな~」と連呼していたのだが、今回それが叶ってしまった。装備軽いとはいえかなりきつい・・・。

 

無事、白毛門と笠ヶ岳を通過。

 

朝日岳も通過し、水を上で汲むことにしていたので付近の水場で調達することに。朝日岳山頂より少し北に行った宝川方面の分岐から、宝川温泉方面に5分以内の場所にある。
水量は結構乏しく、水場も発見しづらい。草地と登山道脇の土との境目のえぐれている部分からパイプがニョキッと出ていてそこから流れている。こんなに朝日岳山頂に近いのに水が出ていることが不思議だ。
そしてその汲んだ水は・・・やや茶色い。しかも独特の風味がする。この時は飲む気なんて全く起きなかったが、いかんせん水がここにしかないので全員満タンに汲んでいく。
途中で水が尽きたら池塘の水を浄水して使わざるを得ないのだ。

 

ジャンクションピークに到着。ここから1/25000地図にも山と高原地図にも記されていないバリエーションルートに入る。30年以上前までは道があったらしいのだが、情報は乏しい。道標には「巻機山(難路・道ナシ)」との文字が。道標の示す方面に向かうとすぐ道は途絶えた。最初は歩きやすい笹藪が続く。このあとカメラマンAOKが途中でカメラ装備やザックが一人だけフルザだったりという要因からバテてしまい、この日の写真は少ない。(メンバーのみんなゴメン。。。)

 

ここから道中ナルミズ沢から上がってきた2人パーティと、ジャンクションピークから途中までを往復する単独行の人と遭遇した。この3人以外は巻機山到着まで人間と遭遇することはなかったので、巻機山から来ている人の情報を欲していたものの叶わず。
ナルミズ沢上部のコルまでは来る人が多いのか、踏み跡が多く存在した。でも、稜線細くてあるき辛い。。。
越後烏帽子、大烏帽子山を超えていく。笹藪なら柔らかくて歩を進めやすいのだが、石楠花の藪は固くて体力を消耗する。中でも途中で木が生えてたりするととても力ずくで進めないので避ける必要がある。大烏帽子山手前で稜線を歩いていると東側斜面に歩きやすそうな草原(以下、「高速道路」)をみつけたのでそっちに行くことに。しかし目視で確認した距離以上に高速道路が遠い。途中で堅い藪オンパレードと背丈より高い藪オンパレードで隊列が分断。高速道路に出ることも断念。これ以上下ると遭難の恐れもあるので、稜線になるべく登り直していると、偶然にも草原に出た。しかし草原は急斜面になっているので稜線上よりも靴の中の足のズレが顕著に出る。しっかり靴紐を結んでないと斜面谷側の足の指先が靴の中で当たって痛くて歩きづらいのだ。藪に引っかかって靴紐が解ける解ける。
大烏帽子山、真っ直ぐ登るか右から登るか左から登るか。すごい迷った。結果まっすぐ登ったら急だし落石怖い。
笹藪を手すりのようにして登っていく。なんとか大烏帽子山に到着。踏み跡はいっぱいあるけどピーク標はなさそう。

我々はここで後ろを振り返った。あれ・・・?
消耗した体力と時間の割にはそんなに距離歩いてなくね・・・?
登山道って整備されてないとこんなに時間も体力も使うものなのかと思い知らされた。
そして同時に、「日没までにC1予定地の檜倉山に着けるのか・・・?」という不安が脳裏をよぎる。
僕らは先を急いだ。しかし激藪が僕らの行く手を阻む。

 


時々赤布もあるが、見つけづらい上にめっちゃ古いものもある。しかもこのルートは基本的に稜線上を歩くので、天気もいいし地形図とコンパスを持っていればあまり参考にならない。数も少ない。正しい稜線を歩いているという再確認はできるだろう。

日没直前、いやしてるかもくらいの時刻に檜倉山に到着。檜倉山の山頂はのっぺりしていて草地が広がっており、池塘もある。テン場にはもってこいの場所だ。さっさとテントを張り、夕飯を食べて軽く飲んだら疲弊した僕らは倒れるように寝た。
そうそう、気がついたら朝日岳の水も余裕で飲めるくらいに限界になってた。

 

2018年10月9日、起きたものの寒さと昨日の疲れからか、メンバーからはまだ寝たいとの声。
僕はみんなが眠り続ける中カメラを手にテントの外へ。
すごい。この山、360度街明かりが一切見えない。清水集落とか見えると思っていたが、うまいこと隠れて見えない。(山頂西側に行ったら少し見えた)

無数に見える星が降ってきそうな夜空にカメラを向けてシャッターを切った。
「この場所、できることなら一週間くらいいて写真撮りてぇ!!!」とか思ったりした。食料と水の供給がないのだが。。。

 

徐々に陽が出てきた。風が殆どないため、池塘に反射して朝焼けの空が映る。

 

檜倉山のピーク標を発見。「県境歩き隊」という山岳会が設置したものらしい。三角点が草原の脇の笹藪の中に隠れているらしいが、見つけられなかった。

 

そしてこの日はとても天気がいい。なるべく高速道路を歩いていく。

 

僕らの期待に反して一瞬で終わった高速道路。また稜線の藪に突っ込む。結構下に行けば草原が見えるが、そこまで降りたら登り返すのがだるいし見渡しが効かないので迷いやすい。藪が朝露で濡れていてカメラもビショビショ。レンズは結露しまくり。柄沢山の肩までもう少し。時々広い平坦な草原を見つけては休む。

 

柄沢山の肩に到着。そこからひょいと歩いたら柄沢山に到着。ピーク標はなさそう?だが、三角点と三角点みたいな石はあった。

 

また下って結構歩いて米子頭山に到着。写真ここも全然撮ってなかった。
リーダーが得ていた情報の通り、檜倉山から米子頭山までは藪がイージーモードだったり、横にいい草原があったりとで比較的楽だった。米子頭山の登りは少しきつい。藪のせいというより、木のせい。
すごいことに、昭和58年に来たらしいMWVという団体のおいていったピーク標が落ちていた。
M治大ワンダーフォーゲルだろうか?違ったらごめんなさい。

 

コルまで一気に下り、後は登りきれば巻機山到着というところまできた。ここでも再び、「これ巻機山避難小屋に日没までに着けるのか・・・?」という不安。行く前にOBさんが口にしてた「最悪笹藪のなかでごろ寝することになるよ笑」が現実になりそうな予感がして一同青ざめる。しかし、巻機山避難小屋はきれいで広くて天国のような避難小屋。お金をいっぱい払ってもいいくらい。と、コルから少し登ると、なぜか笹藪が刈られている・・・?
サイボーグと呼ばれる体力おばけのSKNは「ふざけんなよ~」と悔しそうな模様。一方僕は「助かった・・・」の一言に尽きる笑。

 

ここから巻機山と牛ヶ岳の間の分岐点までずっと笹が刈ってあった。不思議だ・・・なんのためにここの笹を刈ったのか・・・。その分岐点までは一応バリエーションルート。地図に道はない。このルートを踏破する人の遭難防止のために途中まで刈ったのだろうか・・・?疲弊した僕らは感謝しながら進む。分岐点の道標を発見。

 

分岐点から先は笹藪もなく、木道という素晴らしい道が続く。巻機山の山頂に到着。この時突然ガスに巻かれて寒くなった。

 

そして、あたりが薄暗くなってきた頃に巻機山避難小屋に到着。平日にもかかわらず意外と賑わっており、僕らの他に3パーティ計6人が泊まっていた。
夕飯を食べていっぱい飲んでぐっすり寝た。避難小屋は超快適なのだが、広い反面寒い。。。

 

2018年10月10日、いっぱい寝た僕らはとっとと下山へ。爆速で降りる。清水にくるバスに間に合わせるために。それを逃すと3時間後とからしい。ニセ巻機山を通過し、途中でクーポン岳(割引岳)とその紅葉を眺めて、爆速で桜坂駐車場に無事到着。バスにも間に合った。

 

めちゃめちゃ疲れたけど、通常ルートの登山にはない体験ができたし、なによりちょっと前に谷川馬蹄形をやったときに見た「巻機山(難路・道ナシ)」に憧れてたのがこんなにもすぐに叶ってしまったのが嬉しくてたまらない。
今回は運もよかったりして無事たどり着けたが、他のバリエーションルートだったらこうは行かないかもしれないので、経験と知識をもっとつけていきたいなぁと改めて実感した山行だった。

Photo : ©2018 Takahiro Aoki (Nikon D7100) All Rights Reserved.