2018年03月24-25日、大源太山(ブドウ尾根)から七つ石小屋山をへてシシゴヤの頭

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たくさんの雪上訓練をへてレベルアップを図った3名の2年生(次期3年幹事の方々)と、今シーズンの積雪期登山の総括として大源太登山(旭原→葡萄尾根→大源太→七つ石小屋→シシゴヤの頭→旭原)に行ってきました。
晴天に恵まれ最高の条件で、皆さんが普段アルコウ会ではできない登山形態を通じて、たっぷり楽しんで、様々の経験をして、ぐったりと疲れたことと思います。
この経験を通じて、安全に、より楽しい積雪期の登山がアルコウ会で継続されることを祈っています。

メンバー:有川(2)、関野(2)、荻原(2)、戸田(OB)

3月24日、晴れ(夜一時小雪)

旭原を出発していきなり道を間違えて弥助尾根の取付きに行くが、斜面を突っ切って谷に懸垂して下り、葡萄尾根に取付きます。葡萄尾根はゆるい尾根からだんだん登って、大源太へ続く主稜に交わります。

写真:旭原から大源太(左の左上するのがブドウ尾根)、ブドウ尾根にて

 

 

主稜から、本格的な登山となります。波打つ雪庇の連なる稜線を見てみなさん感動したことと思います。
春の訪れに伴い雪庇は部分的に崩落し不安がよぎりますが、向かう二つの岩峰は小さいながらも美しくそそり立ち、我々を呼んでいます。トレースの無い真っ白な稜線をワクワクして進みます。

写真:主稜にて

    

ロープをつけて滑落に備えながら雪稜を進みます。初めの岩峰を登るとルートは素晴らしいナイフリッジになり、不安定な雪のついた次の岩峰の基部に連なります。
傾斜はありますががみんな頑張って登りました。岩峰から山頂への稜線はまたナイフリッジになっており慎重に歩きます。

写真:第一岩峰、第二岩峰にて

    

やっと着いた薄暗くなった山頂は、わずかにステンレスの標識が雪庇の斜面から出ています。
雪庇でとがった山頂をスコップとピッケルで大きく切り崩して平らにし、ツエルト2張りを貼ったころには真っ暗です。整地中動き回って熱かった体も、止まってツエルトを張るころには風に吹かれてすっかり冷えてしまいます。

ブッシュとピッケルを支点としてメインロープをはり、これをツエルトに通してから、ツエルトの中でプルージックでビレーをとっての休息です。まずは1つのツエルトに4名で入って飲み物と食事作り。
みなさんとても疲れたようですが、暖かいココアを飲むと口数も増えます。薄いツエルトの生地一枚ですが中は暖かく楽しいビバークです。おなか一杯パスタを食べるともうとっくに寝るべき時間は過ぎています。アルコールも少しいただきました。眠くならずさらに登頂の興奮が高まったようです。

食後は、2つのツエルトに別れてビバークです。
今回、今までの習慣にとらわれないようにとのことで、みなさん中型のザックに、軽量化で夏用シュラフとシュラフカバー、そして二人で1枚の銀マットでした。空には月が輝いていましたが、山頂の高さは雲がかかり風も強く時折雪がたたきつけていました。それなりに冷え込みましたが、皆さん十分眠れた様です。ツエルトからは大きないびきが聞こえてきました。

写真:夕焼けの山頂、山頂ホテル(ビバーク)

3月25日(ガスのち晴れ)

天気が好転するのを待ちながら山頂ホテルを撤収です。場合によっては弥助尾根エスケープとも考えていましたが、予想通りにガスは晴れて七つ石小屋への純白の稜線が現れてきました。

コルまでのくだりは、十分注意が必要な岩場ですがその後は、美しい雪稜が連なります。
安全のためにロープをつけてはいますが、快適な登りです。

写真:大源太の下りから七つ石小屋山登り

         

国境稜線に出ると突然強い風で頬が冷たくなります。
でも、谷川岳からジャンクションピーク、巻機山への純白の稜線が望め、気分は最高です。
国内でもこれだけ真っ白な稜線が連なるところはあまり多くありません。絶景です。
七つ石小屋の山頂で大休止し、大展望を楽しんだ後は後半戦です。
もう、あと数時間しか山にはいられません。残りもたっぷり楽しみましょう。

写真:七つ石小屋山山頂にて

 

写真:谷川岳、七つ石小屋山からの国境稜線

国境稜線のクラストした道をサクサクと歩き、シシゴヤの頭への稜線に入ります。

前に福田君と歩いた時より雪解けがかなり進んで、雪庇がずれています。部分的に注意が必要ですが、もうみな慣れてきているので安心です。シシゴヤの頭からは安全そうな尾根を適当に下ります。
雪もやわらかくなって足がはまってしまうこともあり、アイゼンも激しく団子となります。ランナーを取りながらロープを付けているので、滑落しても笑っておしまい。私も足が深雪にはまりザックに振られて落ちました。でもロープがついているので笑っておしまい。アイスバーンから新雪、湿雪、最中雪と、様々に雪質は変化するのは良い経験です。
尾根の下ではカモシカのペアにもご対面。そういえば真っ白なウサギにも会いました。

写真:カモシカ

後は林道をザクザクと歩いて旭原へ戻ります。年寄りの私は膝が痛くて遅れますが、若者は元気いっぱい。快晴の旭原で、カップめんを食べてちょっとくつろいで帰京。

「今までの登山で一番おもしろかった」との声もあり、今回の山行きを企画した甲斐があったというものです。雪上訓練だけで、本番の登山がなかったシーズンは皆さん欲求不満が溜まっていたと思います。
十分満足してくれただけでなく、軽量化、ツエルトビバーク、等の経験を経て、これで普段の山行への考え方が変われば幸いです。私個人的にも、皆のおかげでやっと積雪期の大源太の頂に立ち、泊まることができ、 大変良い思い出ができました。
みなさん、ありがとう。また一緒に行きましょう。今度はこぶ尾根?

以下有川君の感想です。

私は今シーズンの冬山の集大成のつもりでこの山行に臨みました。雪上訓練で学んだことと登山研で培った経験をバリエーションルートでどこまで活かせるか試してみよう、山行前はそう考えていたと思います。実際には、その両方が大いに力になりました。特に、登山研でいろいろな地形と雪質を経験したことで、今回の山行ではあまり動じずに冷静に行動できました。そうした中で、ロープを出してアンカーを取りながら危険箇所を通過したこと、軽量化とツエルトのビバークはいい経験になりました。素晴らしい景色も満喫できて大満足の山行でした。